行楽の中の非日常

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京都 永観堂にて。


この秋は自分で自分の予定を忙しくして、ふたりでいろんなところに出かけたり、前よりは家のことできるように配分してみたり、去年と同じく古本屋さんごっこをしてみたり、としているうちに仕事も年末に向けてスケジュールが埋まってきたり。


そんなこんなしながら、合間で京都へ行った。



紅葉。お寺さん。の次は、



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本屋。 (時間がなくてガケ書房には行けなかった。残念)
の次は、



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オムライス。

京都はええ感じのおいしい洋食屋さんもいっぱいどす。



しかしわたしの今回の目的はそれだけではないのでした。


場所は京都精華大学。デザイン学部 建築学科・連続レクチャーシリーズ 。
2013年後期プログラム 可能性の空間[空間論演習2]
特別公開講座

「よみがえらす」
森本 千絵(コミュニケーション・ディレクター)× 鞍田 崇(総合地球環境学研究所准教授/京都精華大学講師)


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聞いてきました。

振り返ろうとすると、胃が逆流するようなすっぱい感じがしてしまうけど濃密な90分(大学の授業とはそういえば全部90分だった。なつかしい)

広告、音楽や映画のアートワーク、本の装丁、空間デザイン、テレビ番組など(つまり何でも)企画・デザインして制作を続ける日本のトップアートディレクター、森本千絵さん。

博報堂入社後はじめて担当した制作物から、直近のユーミンのベストアルバム「POP CLASSICO」まで、いくつかをピックアップして、制作に至る思考の過程を丁寧にお話してくださいました。
ひとつ紹介します。


初期の作品。Mr.Children ベストアルバム、ツアー告知
「新世紀、未来に向かって僕らはミスチルの封印を解く。」

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誰かが落とした水滴ではありません。
よく見ると、落とした水滴の向こうに、ベストアルバムの告知が透けて見えます。

ミスチルとの初めてのお仕事で、いきなり全国紙の新聞広告全15段。
それを勝ち取る提案力!

「封印を解く」というお題に対して、ずっとずっと考えて、ぼんやり朝、新聞に水滴を垂らしてしまった父親の姿を見て「!」と、気がついたそう。

ミスチルというアーティストだからこそ有効な手法であるけれど、なかなか許されない紙面の使い方。だって告知したいことが逆さ文字になって読めないわけだから。通常ありえない。文字だって小さすぎるって絶対修正される。

それでもプロデューサー小林武史氏により先輩方の案がバッサバッサ切り捨てられていく中、最後におそるおそる提案したこの案が採用された。(プレゼンの場所はプールサイド、そして小林氏はプール上がりで髪はびちょびちょに濡れていてめっちゃ怖かったらしい。トレンディードラマみたい)


かかわる仕事の記憶が、自分の思い出として残せるように。
それぐらい、心を傾けて全力で取り組むこと。

頭で考えた企画より、心が動いた企画を。
なつかしい未来。
「はじめて」の気持ちこそ未来。
本質はきっとそこに。


鞍田先生が、森本千絵さんのことを称して「大事にしなければいけないものへのアンテナを、しっかり持っている人」と言っていた。


最後に質問の時間があり、誰も手を挙げる様子がないので、えいっと挙手しました。


「POP CLASSICO」の絵はどうやってイメージし、詳細な絵に落とし込んだのですかと尋ねた。
テーマは「深海」で、「POP CLASSICO」=なつかしい未来から、制作のヒントを得ていったというお話は講義の中であった。


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わたしの方をずっと見ながら、答えてくれた、森本さんのその答え。

短い期間で企画書をあげなければいけないので、文献を参考にしている時間は物理的にない。
(ユーミンのときは1日!)なので、すべて書く作業のときは、音と、自分の中にあるものだけが頼り。
プレイリストを作り、聴きまくる。ひたすら、イメージを拡げ、絵を、物語を描く。

森本さんのその作業方法は、作品集にも掲載があったので知っていた。
見よう見まねでやろうとした。でも、それはわたしの方法じゃなかった。

わたしはもっとちがう質問がしたかったのだと、直後気づいた。

あなたのような絵は、わたしには描けない。
描けないということは、詳細にイメージできないということになる。
ずっと、苦手を克服するよりも、得意と思えることを伸ばしていこうと思っていたけど、自分で描けないということは、デザイナーにとって致命的ではないのか。

得意と、不得意について、どう思うか。

聞けなかったけど、今でも答えは出ていないけれど、わたしは、生きて元気でいろいろな場所に行けて、五感を使って沢山のものを知れる限り、自分の中にどんどん溜め込んでいくしかないのだと、というよりそれぐらいしか自分にはできないから、自分でそれを無理矢理この講義の答えにした。

そのあとで恵文社に行ったのがよくなかった。
そんなにいつ読むんだという書籍おとな買い。旅先なのに。
あせらずに読んでいこう。


見落とさないように、気づけるように。
それしかできないから、気づいたことを忘れないように、気づく気持ちを忘れないように。これからも遊んで食べて吐き出していたい。


講義のあと、サインをもらうために列を作る学生の中に、ちょっと迷って、並ぶのをやめた。

かっこつけただけなのかもしれない。
今の広告業界のトップを走るクリエイターから、もっと力をもらいたい、とも思った。
でも、まがりになりにも、彼女は同業者だ。

憧れだけど。サインをもらう対象ではないでしょ、と自分に問いかけて、そのまま待ち合わせ場所の恵文社に向かったわたしは、意地っ張りでしょうか。




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by ikumishikawa | 2013-12-04 17:37 | クリエイティヴなこと | Comments(0)


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